ニュースリリース

2019.05.20 ジーンクエストと東京大学、日本人における 紅茶の消費量に関連する遺伝子多型 について学会発表

株式会社ジーンクエスト(本社:東京都港区、代表取締役:高橋 祥子)と国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科 健康栄養機能学社会連携講座(東京都文京区、加藤 久典特任教授)は、日本人における紅茶の消費量と遺伝子多型に関する研究の成果を、第73回 日本栄養・食糧学会大会(開催地:静岡県立大学)で発表いたしました。

◆研究の背景
紅茶は世界中で愛飲される嗜好飲料ですが、これまで紅茶の消費とヒト遺伝子多型(SNP) ※1との関連について研究されることは多くありませんでした。一方で、同じくカフェイン飲料であるコーヒーの摂取量とSNPとの関連はゲノムワイド関連解析※2により比較的研究が進んでおり、アルコール飲料と並び、食品とゲノムに関する代表的な研究となっています。紅茶はコーヒーに比べ苦味より渋みが強く、香りも大きく異なるうえ、カフェイン量も異なる飲み物です。このため、コーヒーの嗜好性と紅茶の嗜好性では遺伝的な背景が異なっている可能性が考えられました。

◆研究成果と今後の展望
本研究では、日本人※3を対象に、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いて、紅茶の消費量に関連のあるSNPを網羅的に探索しました。
その結果、紅茶の消費量に関連する領域として12番染色体、12q24領域上にあるHECTD4遺伝子のSNP(rs2074356)が同定されました。さらに、同定したSNPについて、飲酒量・飲酒頻度・コーヒー摂取量を考慮して再解析を行うと、rs2074356は飲酒を介して紅茶消費量に影響があることが示唆されました。

本研究は紅茶消費量に関連する遺伝子座を初めて同定した研究です。また、これまでのジーンクエストと東京大学との共同研究から、12番染色体の12q24領域は食品摂取や嗜好性に関連する遺伝領域であることが分かってきました。これらの研究は、個人の食の好みに関するメカニズムを明らかにする一助となるほか、一人ひとりの体質を考慮した食生活(個別化栄養)に応用される可能性も秘めております。

当社では今後も、共同研究によって生み出される成果を活かして、より信頼できる遺伝子解析サービスを提供し、遺伝子事業の発展に貢献できるよう取り組んでまいります。


◆発表表題「GWASによって見出された12q24遺伝子座と紅茶消費量との関連」 


■用語解説
※1 スニップと発音され、DNA上のたった一箇所の違いを意味しています。Single Nucleotide Polymorphismの略であり、一塩基多型と訳されます。ゲノム中には300万から1,000万のSNPが存在していると考えられています。重要な遺伝子領域が作りだすタンパク質を変化させる可能性があり、生活習慣病などはSNPsが複雑に関係していると解明されてきています。

※2 ゲノムワイド関連解析(GWAS解析)は、ゲノム全体をほぼカバーする50万個以上のSNPの遺伝子型を決定し、主にSNPの頻度と、疾患をはじめとした形質との関連を統計的に調べる方法です(脳科学辞典:https://bsd.neuroinf.jp/wiki/ゲノムワイド関連解析)。

※3 本研究は株式会社ジーンクエストとヤフー株式会社が共同で展開している遺伝子解析サービス、Yahoo! JAPAN - HealthData Labプロジェクトのデータを活用しています。


■企業情報
社名  : 株式会社ジーンクエスト
所在地 : 東京都港区芝5丁目29番11号 G-BASE田町
設立  : 2013年6月20日
資本金 : 110,000千円(資本準備金含む)
代表者 : 代表取締役 高橋 祥子
事業内容: 個人向け遺伝子解析事業
URL      : https://genequest.jp/

■ジーンクエストリサーチについて
「ジーンクエストリサーチ」は、国内外の企業、研究者等と連携し、主に遺伝子解析キットを通じて蓄積されたゲノムデータを活用し、遺伝子多型と体質、疾患に関する幅広い研究に取り組んでおります。研究活用に関して同意が得られたユーザーのデータを匿名化し、倫理審査委員会により情報の取扱い、提携先における利用目的等の承認を受けた上で、研究活用します。今後も、共同研究パートナー企業、研究者とともに、サービスと研究のシナジーを創出し、新たな価値の創出を目指し実現してまいります。当社では、共同研究の研究者、パートナー企業様を広く募集しております。
ジーンクエストリサーチURL : https://genequest.jp/forbiz/


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本件に関するお問い合わせ先
株式会社ジーンクエスト
E-mail: support@genequest.jp

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