ニュースリリース

2023.09.04 3Hメディソリューションとジーンクエスト、炎症性腸疾患(IBD)の患者レジストリを構築 遺伝子多型ごとに異なる薬剤効果の違いに関する解析情報提供を開始 医薬品開発の促進と患者の治療選択肢・治療満足度向上に寄与

3Hメディソリューション株式会社(東京都豊島区、代表取締役:滝澤 宏隆)および、株式会社ジーンクエスト(本社:東京都港区、代表取締役:岩田 修)は、共同で構築を行った炎症性腸疾患(IBD)患者の遺伝情報と臨床情報を備えたレジストリ解析を実施しました。そこで得られた遺伝子多型ごとの薬剤効果や満足度の違いに関する情報を活用することで、新薬開発における新たな候補化合物の選定や治験における被験者募集の効率化、また患者さんにとっての治療選択肢の拡大につながる情報提供を開始します。
今後、両社では同様の取り組みを幅広い疾患に対して応用することで、新薬開発の促進および患者さんの治療満足度向上に寄与する活動に貢献してまいります。

◆IBD患者レジストリの概要
 対象疾患    :炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
 患者規模    :100名(潰瘍性大腸炎80名、クローン病20名)
 収集データ   :遺伝情報および臨床情報(治療経過・服薬履歴、生活習慣情報)
 解析データ   :既存IBD治療薬における遺伝子多型ごとの薬剤効果
 研究責任者   :野川 駿(ジーンクエスト)、牧 大輔(3Hライフサイエンス研究所)

◆提供される解析情報の詳細
IBD患者さんが服用している様々な薬剤についての満足度に関連する遺伝子多型が存在するか探索しました。この探索の結果、タイプ毎に満足度が異なる遺伝子多型が存在することが示唆されました。結果の一部を表1にまとめました。例えば、遺伝子多型Bでは、この多型を持っているとIBD発症リスクは低い傾向にありますが、薬剤Bでは満足度が高く、薬剤Eでは逆に満足度が低い傾向となることを示しています。このように、遺伝子多型によって薬剤の向き不向きがある可能性が示唆されました。本結果を用いることで、患者さん個人に合った薬剤の選択に役立つだけではなく、より満足度の高い薬剤の開発に繋がることが期待されます。今回掲載している結果以外にも、取得している患者背景情報や、新たに取得する情報を組み合わせた解析レポートも提供します。

◆本取り組みによる効果
製薬企業が本定点調査に参画することで、定期的・継続的にIBD患者の遺伝子多型ごとの薬剤効果に関する情報が入手できます。また患者さんの背景情報や治療経過など、Patient Journey(ペイシェント・ジャーニー:患者さんが病気に気づき、治療し、寄り添い、回復していく過程を心理的な変化と共に記録したもの)を知ることで、新たな治療介入に対する気づきを得ることができます。その際、特定の患者さんにより深い聞き取りを行うことも可能です。今後、QOLの指標を定点調査に追加予定で、それにより薬剤がQOLの変化に与える影響を解析することが期待されます。
患者さんは本取り組みを通じて、IBD患者さんにとって治療に有益な情報が公開情報として入手可能になります。特に遺伝子多型による薬剤の効果に関する情報は患者さんごとに異なることから、パーソナライズ化された環境(ジーンクエスト社の会員専用のポータルサイト内等)で提供することが可能です。また本取り組みに参加された患者さんには、データ解析で得られた結果の一部を共有することで、ご自身が協力した研究の成果を知る機会がえられます。


表1 IBD治療薬満足度に関する解析結果


図1 IBD患者レジストリに対する定点調査の取り組み


■企業情報
社名  : 3Hメディソリューション株式会社
所在地 : 東京都豊島区南池袋一丁目13番23号 JRE南池袋ビル
設立  : 2009年3月6日
資本金 : 2,000万円
代表者 : 代表取締役 滝澤 宏隆
事業内容: 被験者リクルートメント関連事業/CRO関連事業/マーケティング関連事業
URL  : https://3h-ms.co.jp/

社名  : 株式会社ジーンクエスト
所在地 : 東京都港区芝五丁目29番11号 G-BASE田町
設立  : 2013年6月20日
資本金 : 110,000千円(資本準備金含む)
代表者 : 代表取締役 岩田 修
事業内容: 個人向け遺伝子解析事業
URL  : https://genequest.jp/

■用語解説
遺伝子多型(genetic polymorphism、いでんしたけい):遺伝子情報を構成するDNAのアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の塩基配列が、集団の個人間で変化していること、またはその遺伝子における多型(タイプ)を指します。

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