遺伝子検査とは

遺伝子検査とは、DNAに含まれる遺伝情報を解析し、病気のかかりやすさや体質の遺伝的傾向を知る検査です。DNA検査、遺伝子解析とよばれることもあります。
多くの病気の発症には、遺伝要因と環境要因の両方が関係しています。遺伝的傾向を知ることで、生活習慣を見直すなど、病気の予防に取り組みやすくなります。

遺伝子検査の方法
唾液などに含まれる細胞からDNAを抽出し、塩基配列を調べます。
ヒト同士のDNAの差は全体の約0.1%といわれています。遺伝子検査ではこの0.1%の違いから、病気のかかりやすさや体質の違いを調べます。
ジーンクエストでは、マイクロアレイ(DNAチップ)という膨大な遺伝情報を解析できる技術を利用し、1試料あたり約70万か所の遺伝情報を解析しています。
唾液で検査ができる理由
遺伝子検査というと血液や髪の毛を採取するイメージがあるかもしれません。しかし一部の細胞を除いて、ほぼ全ての細胞には同じ情報を持つDNAが含まれています。唾液もDNAの採取が可能な細胞(口腔細胞や白血球)を含むため、遺伝子検査に用いることができます。また近年の研究からは、遺伝子検査の試料として唾液と血液を比較したとき、解析結果の精度にはほとんど差がないことが報告されています。
痛みを伴わず簡単に採取できること、結果の精度も期待できることから、ジーンクエストでは唾液を試料として利用しています。
遺伝子検査とは

遺伝子検査でわかること

ジーンクエストの遺伝子解析は、がんや生活習慣病、スキンケア、性格、太りやすさなど350項目以上の遺伝的傾向と、母系の祖先(ルーツ)を知ることができます。
解析結果では、対象項目の解説やリスク値のほか、予防のためにできることも掲載しています。自分の遺伝的なリスクを知ることで、予防や生活改善のヒントとして活用いただけます。

ジーンクエスト ALL紹介動画

ジーンクエスト ALLの
解析内容

健康リスク

健康リスク

遺伝的にどのような病気にかかりやすい傾向を持っているのかを知ることができます。
【主な解析項目】
高血圧症、脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞、不眠症、前立腺癌、膵臓癌、腎臓病、骨粗鬆症、重度のニキビ、メタボリックシンドロームなど。

体質

体質

性格や食の好み、体質についての遺伝的傾向を知ることができます。
【主な解析項目】
好奇心、勤勉性、持久力、記憶力、脂質代謝、肌の明るさ、体臭、パクチーの味の感じ方、蚊に刺されやすさ、睡眠中の歯ぎしり、95歳以上まで生きる可能性など。

祖先解析

祖先解析

ミトコンドリアDNAを解析し、母系の祖先がいつ頃どの辺りで誕生し、どのような経路で日本列島に到達したのか、ルーツをたどります。

ダイエット体質

ダイエット体質

「糖代謝」「脂質代謝」「基礎代謝」の傾向を知ることができます。結果は8つのタイプに分類され、脂肪がつきやすい部位や、太りやすい要因について、遺伝的な傾向を知ることができます。

アルコール体質

アルコール体質

「顔の赤くなりやすさ」「二日酔い」「悪酔い」「アルコール依存症」の傾向を知ることができます。
さらに遺伝子型の組合せによって5つのタイプに分類され、お酒の強さやタイプごとの健康への影響から、自分の体質やアルコール関連疾患への危険性を理解し、疾病予防に役立てることができます。

※ご送付いただく唾液サンプルから得られるDNAの状態および解析に用いるDNAチップの特性上、一部の項目について結果が得られない場合がございます。また解析技術の特性上、ダイエット体質はごく稀に、アルコール体質は 1/8の確率で結果が表示できない場合がございます。表示ができない場合でも、再解析の対象ではございません。あらかじめご了承ください。

どこで検査するの?

ご自宅で検査いただけます。
ご購入いただくと、ご自宅に解析キットが届きます。届いたキットに唾液を抽出して返送いただくだけで完了します。
解析結果はWEBで見ることができます。

消費者向け遺伝子検査と医療用の遺伝子検査の違い

ジーンクエストが提供する遺伝子検査サービスは、一般的な『消費者向け遺伝子検査(Direct to Consumer遺伝子検査)』とよばれるものであり、医療機関で実施される遺伝子検査とは区別されます。

最も大きな違いは、「医療行為か否か」と「目的」です。
医療機関で実施される遺伝子検査では、医療機関において「診断」や「治療」を目的に行われる医療行為です。すなわち、病気の診断の確定や、治療方針の決定、医療機関での経過観察や治療を前提とした予測・予防等、医学的な判断のために実施されます。
これに対し、消費者向け遺伝子検査では医療行為を行いません。お客様(消費者)と遺伝子解析サービス提供業者の間で直接やりとりを行い、お客様の自主的な行動変容からの「健康増進」や「生活改善」を目的としています。

このため、実施する検査の範囲も異なります。
「遺伝子関連検査」は以下のように分類・定義されており、医療目的の場合には全て、専門の医療機関にて実施されます。
①病原体遺伝子検査(病原体核酸検査)…ヒトに感染する病原体の検出等。
②体細胞遺伝子検査…がんなどの疾患病変部位における、症状とともに変化する遺伝子の検査等。
③遺伝学的検査…生涯変化しない、生来的に保有する遺伝学的情報を明らかにする検査。(例)単一遺伝子疾患、多因子疾患、薬物等の効果・副作用・代謝、個人識別に関わる遺伝学的検査等。

消費者向け遺伝子検査においては非常に範囲が狭く、③遺伝学的検査のうち、遺伝要因と環境要因が両方関与する多因子疾患のみを解析します。遺伝要因が大きすぎないため、生活改善によって予防の効果が期待できる疾患です。反対に、遺伝要因が非常に強い疾病等の解析は、遺伝子解析自体が医療行為に該当する可能性があるため、ジーンクエストでは取り扱っておりません。下記、「解析対象となる疾患について」もご参照ください。

医療機関で実施される遺伝子検査と消費者向け遺伝子検査はよく似た部分があるため、お客様に混乱やご不安を与えてしまう可能性があります。ジーンクエスト ALL では、遺伝情報適正取扱認定を受け、健全・適正なサービス提供に努めています。

参考:ファーマコゲノミクス検査の運用指針 日本人類遺伝学会 日本臨床検査医学会 日本臨床検査標準協議会 (2009年3月,11月改定,2010年12月改定,2012年7月改定)
https://jshg.jp/e/wp-content/uploads/2017/08/120702PGx.pdf

参考:消費者向け(DTC)遺伝子検査ビジネスのあり方に関する研究会 経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/dtc/index.html

解析対象となる疾患について

疾患には、遺伝要因と環境要因の両方が関与しています。
要因の強さは疾患によって異なり、遺伝要因が非常に強い疾患は遺伝性疾患と呼ばれます。
ジーンクエストの遺伝子検査では、遺伝要因と環境要因が両方関与する多因子疾患の部分を解析しています。 ※本サービスは医療行為ではありません。遺伝要因が非常に強く遺伝子解析自体が医療行為に該当する疾病等の情報や、治療方法が見つかっていない疾病の情報、お客様の心身に強い影響を与えると判断した情報など、現在のところ一部の病気や体質を解析対象外としています。(例:遺伝性乳がん、認知症、指定難病、発達障害、精神障害 等)

解析対象となる疾患

分かりやすいのが肺がんです。喫煙者と非喫煙者では、肺がんの罹患率が大きく変わってきます。これは生活習慣、環境要因によるものです。遺伝子検査結果の健康リスクが高くとも、生活習慣で発症リスクを下げられる可能性があります。

喫煙による肺がん発症リスク

参考文献:2002 May 10;99(2):245-51. doi: 10.1002/ijc.10308.

ジーンクエストでは、遺伝要因の影響度を解析結果の詳細ページに掲載しています。
遺伝要因が少なく環境要因が多いものは、特に生活習慣が影響します。日々の生活を見直し、健康管理を心がけることで、疾患発症リスクを軽減できる可能性が高まります。

※遺伝要因影響度は、研究データが有るものと無いものがあり、全ての詳細ページに掲載しているわけではありません。

遺伝子検査のメリット

生活改善を行う上で、生まれ持った遺伝的な体質の情報を知っておくことは強い動機となりえます。
当社の遺伝子解析サービス、ジーンクエスト ALLをご利用いただいた方へのアンケート調査では、74%以上の方が健康意識が向上し、生活改善に取り組まれていました。

円グラフ健康意識の変化 「高まった」「やや高まった」の割合74%
円グラフ 生活改善への取り組み 何かしらの取り組みが確認された割合91%
※当社の遺伝子解析サービスを利用した3,911名へのアンケート調査結果

ご自身にあった健康づくりに活かす

遺伝子検査によって将来のリスク傾向を知ってしまうと、時には思いもかけない結果に驚くことがあるかもしれませんが、生活習慣病をはじめとする疾患の発症は遺伝的要因だけで確定するわけではなく、前述の肺がんと喫煙の例のように、生活習慣の改善や予防の努力などで避けられる可能性が高いものが多く存在します。 病気のリスクをより詳しく知ることで、ご自身に合った健康づくりに取り組みやすくなります。 生活習慣を改善し、より良い健康生活のヒントに活用ください。

※本サービスは、医療行為に該当するものではなく、代替するものでもありません。
※サービスを受けられた本人の健康状態やリスクを診断するものではなく、既に報告されている科学研究の中で特定の疾患集団と対象集団の比較を行った際に得られた統計値に関する情報を提供しています。

遺伝子関連用語

遺伝子とは
ゲノムDNAは、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4種類の塩基が長く連なって並び、その並び方(塩基配列)によって情報が記録・保持されています。長いゲノムDNAの配列には、ある遺伝形質(姿かたちや病気の罹りやすさなど)に影響する特定のタンパク質に対応する暗号(設計図)となっている部分があり、この部分と周辺の調節機能部分を含む一連のDNA領域が「遺伝子」とよばれます(英語でgene)。特定の遺伝子の配列に変化があることで、対応するタンパク質の働きが変わったり、適した時期に適した量が作られなかったりして、様々な個人差や病気の原因になることもあります。
DNAとは
DNAとはDeoxyriboNucleic Acidの略で、デオキシリボ核酸という「物質」のことを指します。DNAは2本の長い鎖状の分子が並び、ちょうど梯子をひねったような二重らせん構造をしていて、梯子の両側にはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)と称される4種類の「塩基」とよばれる物質が並んでいます。塩基はAとT、GとCの組み合わせで互いに引き合う性質があり、片方の鎖の塩基がわかれば、もう片方の鎖の塩基も決定します。この組み合わせを「塩基対」と言います。またDNAはヒストンというタンパク質とともに小さく折りたたまれて染色体を構成し、細胞核に存在しています。
ゲノムとは
ゲノム(genome)とは、ある生物が保有している遺伝情報全体や、その情報を持つDNAのことを示します。

ヒトの場合、23対(計46本)の染色体に遺伝物質であるDNA(デオキシリボ核酸、deoxyribonucleic acid)があり、DNAが特定の塩基配列により記録している遺伝情報のことを遺伝子と呼んでいます。
DNAと遺伝子の違い
DNAと遺伝子には、DNAが物質そのものであるのに対し、遺伝子はDNAに記載されている情報を指すという違いがあります。
DNA(デオキシリボ核酸)とは、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の塩基で構成され、細胞内では2本のDNAが向き合ったらせん状の形をとっています。また、その塩基の並び方は塩基配列と呼ばれ、遺伝子とは、この特定の塩基配列により記載された情報を指します。
遺伝子は生体の材料となるタンパク質の構造を決め、使われる量やタイミングを調節する「体の設計図」であり、また親から子に伝わる「遺伝情報」でもあります。DNAの全ての塩基配列に遺伝子の情報が載っているわけではなく、使われていない部分や、はたらきが判明していない部分もあります。
DNAを書類に例えると、塩基配列は文字が並んだ暗号文にあたります。暗号文の中には、重要な意味を持つ文章である遺伝子が隠れていますが、意味のなさそうな文字の並びやまだ解かれていない暗号もあり、解読のため今も研究が続けられています。
SNP/SNPs(一塩基多型)
SNPとは、DNAの塩基配列[アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基の並び)]における1つの塩基が個体(個人)間で異なることであり、一塩基多型(いちえんきたけい)と訳されます。Single nucleotide polymorphismの略称で、「スニップ」と読まれます。SNPは遺伝子多型(いでんしたけい)の一種であり、ヒトゲノムの遺伝情報において、およそ500から1000塩基に1個、個数にして約300万個以上と、遺伝子多型の中では最も多く存在していると考えられています。DNA上に複数存在していることから、複数形でSNPsと表記されることが一般的です。
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