ポリジェニックスコアとは

多数の遺伝子が関与するものをポリジェニック(多遺伝子性)、単一によるものをモノジェニック(単一遺伝子性)といいます。
ポリジェニックスコア [polygenic score:PGS] は、多遺伝子性を持つ疾患や体質を、多数の遺伝子を考慮して評価したスコア、および評価の方法を指します。ポリジェニックリスクスコア [polygenic risk score:PRS] とも呼ばれます。

多遺伝子性疾患に関係する遺伝子は、単体では影響力が小さいものがほとんどです。しかし、その変異が数十から数万と集まり、影響しあうことで疾患リスクや体質に影響を与えることが分かっています。
近年の遺伝子研究により、生活習慣病をはじめとする数多くの病気や、身長・体重などの体質は、多数の遺伝子が関与する多遺伝子性であることが明らかになりました。

ポリジェニックスコアでは、多遺伝子性を持つ疾患や体質に関係する膨大な遺伝子の違い(バリアント)を調べ、個人のリスクや傾向を統計的に評価します。


ポリジェニック
(多遺伝子性)
モノジェニック
(単一遺伝子性)
対象となる病気や体質 生活習慣病など多くの病気、
身長・体重などの体質
筋ジストロフィー、
血友病などの遺伝性疾患
関与する遺伝子の数 数十~数万個以上 1~数個
遺伝子1つにおける影響度 小さい 大きい

どうやって計算されているの?

一般的に、ゲノムワイド関連解析(GWAS)と呼ばれる手法で、大規模な遺伝子解析結果をもとに計算を行います。
まず、特定疾患の発症リスクの場合、疾患を持つ人とそうでない人のグループに分け、遺伝子の違い(バリアント)を調べます。
次に、疾患に関係する数十から数万もの遺伝子の違いを同定。さらに、疾患への影響度合いに応じて遺伝子の違いごとに重みづけを行います。最後に、それらを個人の遺伝子型に応じて掛け合わせ、ポリジェニックスコアを算出します。

※解析で得られた遺伝子データをもとに算出するため、ポリジェニックスコアの結果反映には、解析完了から1週間程度お時間がかかる場合がございます。予めご了承ください。

数十~数万の遺伝子の違いを調べ、
ポリジェニックスコアを算出

数十~数万の遺伝子の違いを調べ、ポリジェニックスコアを算出


ジーンクエストでは、論文情報とゲノムデータからポリジェニックスコアを計算して5つのタイプに分類し、さらにお客様からいただいたアンケート情報をもとに評価しています。

どう役立つの?

従来の遺伝子検査は、1~3程度の遺伝子の違いをもとに、疾患発症リスクや体質の傾向を評価していました。
対してポリジェニックスコアは、多数の遺伝子の違い(バリアント)をもとに評価するため、これまでより高い精度で結果を知ることができます。
複数の遺伝子が関与する疾患や体質においては、ポリジェニックスコアを使用するほうが適しているといえます。

さらにジーンクエストでは、年齢ごとのリスクや体質の傾向をグラフ形式で掲載しています。論文やゲノムデータ、お客様からいただいたアンケートをもとに計算※しており、リスク予測にお役立ていただけます。

※年代別の傾向は、論文情報とゲノムデータを用いて分類した遺伝子型タイプごとに、お客様からいただいたアンケートデータより統計情報を計算しております。


遺伝子型タイプやポリジェニックスコアの人の割合を表示

遺伝子型タイプや割合を表示

年齢別のリスクや体質の傾向をグラフ化

年齢別のリスクや体質の傾向をグラフ化

病気の発症リスクや体質の傾向には、遺伝的な要因以外に食事や運動などの生活習慣が大きく関係しています。
そのため、遺伝的にリスクが高くとも、生活習慣の見直しや改善をはかることで、リスクを下げられる可能性があります。
遺伝子解析の結果で気になる項目がある場合には、「予防のためにあなたができること」をぜひご参考ください。

近年の研究と今後の期待

2000年初頭にヒトゲノムの解読が完了して以降、遺伝子研究は大幅に発展してきました。
2003年以降にはゲノムデータと疾患データを集めるプロジェクトが進行し、疾患メカニズムの解明等を目指す研究が数多く実施され、近年はこれらの研究データをもとにした、ポリジェニックスコアの研究が活発になっています。

ポリジェニックスコアでは個人のリスク傾向を見いだせることから、個別化医療や予防医療、新薬開発、ライフスタイル改善など、様々な分野での活用が期待されています。

このページの先頭へ