ゲノムワイド関連解析(GWAS)とは
ゲノムワイド関連解析(GWAS)とは、特定の疾患や体質などに関連する遺伝的な特徴を網羅的に調べるために用いられる手法及びその研究のことを指します。
英語でGenome-Wide Association Studyと表記され、略してGWAS(ジーバス)と呼ばれます。
ゲノムワイド関連解析では、特定の疾患を持つ集団と持たない集団に分け、それぞれの遺伝子の違いをゲノム全体にわたり網羅的に調べていきます。
その結果、特定の疾患を持つ集団で多く存在する変異(バリアント)を統計学的な手法で特定することで、疾患の原因となる遺伝子を推定して疾患の発症メカニズムの解明に役立っています。
遺伝子と疾患や体質との関連を調べる研究は、ヒトゲノムの解読が完了した2003年ごろから行われていたものの、当時はゲノム解析にかかる費用が非常に高かったため、特定の一部の遺伝子のみを対象として行われていました。
その後、次世代シーケンサーやDNAマイクロアレイなどの解析技術の向上、コンピューターの技術発展により、ヒトゲノムのほぼ全体をカバーする解析手法でも、比較的安価に実施できるようになりました。2010年代からは、これらの技術を用いた特定の一部の遺伝子のみではない、ゲノム「ワイド」な研究が頻繁に行われるようになっています。
ゲノムワイド関連解析は、対象とする遺伝子を絞る必要がない、仮説フリーな研究のため、遺伝子との関わりやメカニズムが分かっていない疾患や体質等でも、研究可能であることが特徴となっています。