ハプロタイプとは

ハプロタイプ(haplotype)は、ハプロイド ジェノタイプ(haploid genotype)を縮めた言葉です。

ハプロイド(haploid)とは、「一倍体」「半数体」といった意味の言葉で、ある生物の染色体の基本数1セットもつ細胞や個体を指します。
たとえばヒトは通常46本の染色体をもっていますが、この46本は母親と父親から23本ずつ受け取ったものです。つまりヒトは、基本数23本で構成される染色体セットを2セット持っている、二倍体(diploid)の生物です。
一方、精子や卵子などの生殖細胞や、細菌などの原核生物、ミトコンドリアなどの細胞小器官は「一倍体(半数体 、ハプロイド、haploid)」と表現します。

ジェノタイプ(genotype)とは、「遺伝子型」「遺伝型」という意味の言葉です。
目や髪の色、病気の罹りやすさなどの物理的な特徴を「表現型」といいます。ヒトのDNA塩基配列の99%はすべてのヒトで同じですが、ごくわずかな箇所(多くは決まった箇所)で塩基配列の違いがあり、表現型の個体差に影響します。
母方・父方から受け取る対立遺伝子(アレル)がどんな配列のセットなのかという遺伝的背景を、表現型に対して「遺伝子型(遺伝型、ジェノタイプ、genotype)」とよびます。

遺伝子型(ジェノタイプ)は対となる2本の染色体に注目した表現ですが、ハプロタイプ(haplotype = haploid genotype)は遺伝子型について一倍体(1本)の染色体に注目した際の塩基配列の型を指します。
長い1本の染色体DNA上において距離的に近い領域にある塩基配列は、減数分裂時の組換えの影響を受けにくいためひとまとめに次の世代に遺伝する傾向にありますが、この領域にある、表現型に影響する複数の対立遺伝子(アレル)バリアントの組合せに注目して分類した型のことを「ハプロタイプ(haplotype)」とよびます。

なお、類似したハプロタイプを持つ集団のことを、「ハプログループ」とよびます。ハプログループの解析は特に、ヒト祖先集団の誕生や移動を推定する研究に活用されています。

ジーンクエストでは、ミトコンドリアDNAのハプログループ推定による祖先解析サービスを展開しています。
ミトコンドリアは真核生物の細胞内にある細胞内小器官であり、核ゲノムとは別のゲノムDNAをもつ、一倍体(ハプロイド)である、母方からしか遺伝しない、という特徴があります。ミトコンドリアDNAのハプロタイプを解析し、ハプログループを推定することで、自身の母方の祖先グループが、いつ頃の時代、世界のどこで誕生し、どのように移動して日本に到達したか、その歴史を垣間見ることができます。

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