遺伝子多型とは

遺伝子多型(genetic polymorphism、いでんしたけい)とは、遺伝子情報を構成するDNAのアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の塩基配列が、同じ種が属する集団の個体(個人)間で変化していることを指します。特に学術上は、集団の中で1%以上の頻度で見られるものを示すことがあります(それよりも頻度が低い変化を変異やレアバリアントと呼ぶことがあります)。

そのような塩基配列の変化には、体への影響がないと考えられているものも多く存在しますが、一部が眼の色や髪の色といった人の見た目や、運動能力、お酒の強さなどの体質に影響しています。

遺伝子多型の元となるDNA塩基配列の変化には、塩基配列の1文字が別の1文字に変化する置換(substitution)、1文字から数千文字の塩基配列の挿入(insertion)や欠失(deletion)、重複(duplication)、塩基配列の並ぶ順番が逆転する逆位(inversion)、 塩基配列の位置が移動する転移(translocations)など複数のパターンがあると考えられています。

また、実際にヒトゲノムで見られる遺伝子多型の多くは、1つの塩基が他の塩基に置き換わるSNP(一塩基多型、single-nucleotide polymorphism)ですが、他にも塩基の欠失や挿入によるindel(挿入欠失、insertion/delution)、2から5文字程度の塩基配列の繰り返し数の違いが個体間で異なるSTRP(マイクロサテライト多型、short tandem repeat polymorphism)、より長い塩基配列の繰り返し数の変化であるVNTR (反復配列多型、variable number of tandem repeat)、遺伝子単位の繰り返し数が異なるCNV(コピー数多型、copy number variation)など、様々なタイプが確認されています。

SNPをはじめとする遺伝子多型の研究は、特定の病気のかかりやすさや、体質の違い、薬の効きやすさなどを明らかにすることで、個人に最適化したオーダーメイド医療(個別化医療、テーラーメイド医療)や新薬の開発への応用が期待されています。

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