遺伝子とは
ゲノムDNAは、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4種類の塩基が長く連なって並び、その並び方(塩基配列)によって情報が記録・保持されています。長いゲノムDNAの配列には、ある遺伝形質(姿かたちや病気の罹りやすさなど)に影響する特定のタンパク質に対応する暗号(設計図)となっている部分があり、この部分と周辺の調節機能部分を含む一連のDNA領域が「遺伝子」とよばれます(英語でgene)。特定の遺伝子の配列に変化があることで、対応するタンパク質の働きが変わったり、適した時期に適した量が作られなかったりして、様々な個人差や病気の原因になることもあります。
なお、「DNA」はA、T、G、Cの4種類の塩基が連なる鎖状の物質のこと、「ゲノム」はある生物のすべての遺伝情報及びそれを担うDNAのこと、「遺伝子」は特定のタンパク質に対応するゲノムDNA領域のことを指します。またゲノムDNAはヒストンタンパクとともに折りたたまれて「染色体」を構成し、細胞の核に存在しています。
1865年にグレゴール・ヨハン・メンデルは遺伝を引き起こす遺伝子の存在を遺伝の法則とともに提唱しました。それから約140年を経て、2003年にヒトゲノムDNA上の全ての遺伝情報を解読する「ヒトゲノム計画」が完了しました。遺伝子の役割や作用メカニズムの研究は現在も続けられ、医療・医薬の進展に活かされています。