痩せるメカニズム
消費エネルギーが増えると、不足分のエネルギーは脂肪細胞に貯蔵されている中性脂肪を使って補うことになり、細胞に蓄えられた脂肪の消費によって「やせる」ということが実現します。そのため、一般的には、摂取エネルギーが消費エネルギーを下回るようにすることで減量を目指します。
消費エネルギーの内訳
1日に消費するエネルギーのうち、基礎代謝は約60%、運動や身体活動に伴うエネルギー消費は約30%を占めます。残りの10%は食事で吸収した栄養素を分解する際の「食事誘発性熱産生」によるエネルギー消費です。 基礎代謝量と食事誘発性熱産生は変動が少なく、エネルギー消費量は運動・身体活動の影響を受けやすいため、ダイエットでは消費エネルギーを増加させることが重要となります。
基礎代謝量とは
心身ともに安静な状態で消費されるエネルギー代謝量のことをいいます。じっとしているときでも、心拍や呼吸、体温の維持をするためにエネルギーが消費されています。生命維持のために使われる必要最小限のエネルギー量が基礎代謝量であり、成人男性で約1500kcal、成人女性は約1200kcalです。
基礎代謝量の低下と肥満
基礎代謝量は10代でピークを迎え、以降は年齢とともに低下していきます。加齢に伴い太りやすくなる理由の一つと考えられています。
また、基礎代謝量は筋肉・心臓・脳で約2割ずつ消費されているため、筋肉量が少ないと基礎代謝量が低下します。肥満の方は、筋肉量が少ないことが原因で基礎代謝が低下しており、ダイエットがうまく進まないケースもあります。
ダイエットの基本
食事面から摂取エネルギーを抑えた上で、消費エネルギーを増やすことがダイエットの基本となります。食事から摂取するカロリーを少しずつ減らし、日常生活を活動的に過ごすことを心がけましょう。
急激に体重が減少すると脂肪だけでなく筋肉まで減ってしまうため、基礎代謝が低下してやせにくい状態になります。また、リバウンドを回避するためにも一気にやせようとするのではなく、半年から1年かけて体重の5~10%を減らすなど、ある程度の期間で無理なくやせることを目標にします。
また、筋肉量を増やし基礎代謝を高めるためることも有効です。筋肉量が少ないと感じる方は、まず簡単な筋力トレーニングから始めてみることをおすすめします。
監修
砂山 聡先生
帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授(内科学)
水道橋メディカルクリニック院長
順天堂大学医学部卒。同大学医学部循環器内科講師を経て、2005年より現職。専門は生活習慣病および肥満症治療。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本肥満症治療学会評議員。
主な著書として「循環器と病気のしくみ」(日本実業出版社)、「肥満症診療ハンドブック」(医学出版社)など。