食生活の工夫

食生活を見直して減量するという考え方は、肥満を改善する上での基本となります。ダイエットに役立つ食生活の工夫を知り、効率的に減量していきましょう。

ダイエットの基本は食事療法

肥満の方は、消費カロリーに対して摂取カロリーが過剰になっているケースが多くみられます。食べる時間や速さなど質的な面に問題がある場合も少なくありません。食事の量や質の見直しは、ダイエットの成功に必要不可欠です。
カロリーを減らすことで肥満に伴う健康障害を改善していくことから、食生活へのアプローチは「食事療法」という名前がついているほどです。

摂取エネルギーの制限が有効

日本肥満学会によると、摂取エネルギーを制限することは、肥満の改善において最も有効かつ確立された方法とされています。必要な摂取エネルギーの量は、肥満の程度や性別、年齢、身体活動量などに基づいて決まりますが、飽食の時代においては制限なく食べる生活を見直す必要があります。

理想的な栄養素の配分

摂取エネルギーを調整しても、栄養素の必要量は確保する必要があります。摂取エネルギーに含まれる栄養素は、50~60%を糖質、15~20%をたんぱく質、20~25%を脂質として配分することが望ましいバランスです。摂取エネルギーを減らした場合には特に必須アミノ酸を含むたんぱく質、ビタミン、ミネラルが不足してしまいがちなため、栄養素の配分を意識しましょう。体重を減らすためには糖質制限が有効という報告もありますが、摂取エネルギーの40%程度までの制限とし、短期間にとどめるなど注意が必要です。

食事の量は少しずつ減らす

極端に食事量を減らすと空腹感が強まり、間食につながる例は少なくありません。リバウンドが起こる原因になるため、やせたいからといって無理に食事量を減らさないように注意しましょう。段階的に食事量を減らす、低カロリーの食品に置き換えるなど工夫することがポイントです。

食事の回数やスピードにも注意する

食事回数を減らすと次の食事を食べ過ぎてしまうため、1日3食を規則正しく食べることが理想です。食事の量は朝食:昼食:夕食=3:4:3という比率を目安にします。間食は控えることが理想ですが、我慢することがストレスになるときは、決まった曜日や時間に自分へのごほうびとして楽しむ程度にとどめましょう。また、食事を始めてから満腹感を感じるまでには15~20分程度かかります。満腹感を得る前に食べ過ぎることを防ぐため、よく噛んでゆっくりと食べるようにしましょう。

お酒は適度な量にとどめる

飲酒の習慣がある方は、お酒の飲み方を見直すことも大切です。お酒自体に含まれるエネルギーを摂取することのほか、アルコールによって自制心がゆるんで食べ過ぎてしまう可能性があります。また、カロリーの高いおつまみを食べることで、太る原因を作ってしまいます。お酒は適量にとどめ、おつまみ類にも気を配るなどの工夫をしましょう。

監修

砂山 聡先生

砂山 聡先生

帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授(内科学)
水道橋メディカルクリニック院長
順天堂大学医学部卒。同大学医学部循環器内科講師を経て、2005年より現職。専門は生活習慣病および肥満症治療。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本肥満症治療学会評議員。
主な著書として「循環器と病気のしくみ」(日本実業出版社)、「肥満症診療ハンドブック」(医学出版社)など。

参考文献・資料

  • 日本肥満学会(編集). 肥満症診療ガイドライン2016(ライフサイエンス出版)
  • 武見ゆかり・吉池信男 (著), (社)日本栄養士会 (監修). 「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル(第一出版)
  • 女子栄養大学出版部 (編集), カロリーダウンのコツ早わかり(女子栄養大学出版部)
  • 貴堂 明世 (監修). 早わかりインデックス 食材&料理カロリーブック(主婦の友社)

肥満・ダイエットの基礎知識

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