肥満の判定基準「BMI」
BMIは肥満の判定にも広く用いられている国際的な指標です。BMIに関する知識を身につけて、ご自身の数値を知り、適切な体重管理をしましょう。
BMIとは
「Body Mass Index」の略であり、やせや肥満の判定基準に用いられる体格指数のことです。「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算することができ、1未満はやせ、18.5以上25未満は普通であり、25以上を肥満と定義します。BMIが25を超える場合は、数値によって「肥満1」から「肥満4」まで細分化されます。
理想的なBMIは22~23
肥満の方は減量によって理想的な範囲でBMIを保ち、健康障害を予防・改善していくことが重要となります。国内外の調査において、BMIは22~23で有病率や死亡率が低くなることがわかっています。
一方、BMIが25を超える場合には、高血圧・糖尿病・高脂血症のリスクが約2倍になるともいわれています。BMIは健康管理をする目的で使える有用な指標の一つといえます。
やせ・肥満者の割合
平成28年の厚生労働省の調査において、BMIでやせに該当する人の割合は男性4.4%、女性11.6%と報告されています。特に若い女性では都市部を中心にやせ型の人が増加しています。また、肥満者の割合は男性31.3%、女性20.6%で、この10年間では横ばいで推移しています。
WHOと日本基準の違い
WHO(世界保健機構)による判定基準ではBMI30以上が肥満と定義されています。しかし、日本人と欧米人とでは、病気の発症率に違いがあり、日本人はBMIが25を上回ると肥満に起因する合併症の発生頻度が上昇するため、基準値が低く設定されています。このように日本人はBMIが低値でも健康障害を引き起こしやすいことが、基準が異なる原因の一つとなっています。
体脂肪率にも注意
BMIは体重をもとにした指標であるため、実際には骨や筋肉、内臓の重さも影響します。したがって、どのくらいの脂肪がついているのか体脂肪率から確認することも重要です。BMIが低いにもかかわらず体脂肪率が高い場合は「隠れ肥満」に該当します。体脂肪率は男性25%、女性35%を超えるところから注意が必要です。
加齢に伴う体重増加を防ぐ
加齢に伴う代謝機能の衰えや運動量の減少などによって、BMIは高くなりがちです。いわゆる「中年太り」で悩む方も多く、特に女性の場合は70歳以上を除いて年齢とともに肥満者の割合が増加していくこともわかっています。20代の頃を基準として、体重の増加は10%以内にとどめることが望ましいとされています。バランスの良い食生活や適度な運動を心がけ、理想的な体重をキープしていきましょう。
BMIを計算
BMIはダイエットシミュレーターを使うと簡単に算出することができます。また、BMIだけでなく、基礎代謝量や1日の総消費カロリーなどを計算する機能もあるため、さまざまな視点から体重管理に役立てることができます。シミュレーションを活用することで、具体的な数値を使って目標を立てながらダイエットを進めることができます。
ダイエットシミュレーター
男性では10人に3人、女性では10人に2人がBMIから「肥満」に分類されます。肥満やそれに伴う健康障害は非常に身近なテーマです。まずは自分のBMIを把握することから始め、適正体重を維持していきましょう。
監修
砂山 聡先生
帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授(内科学)
水道橋メディカルクリニック院長
順天堂大学医学部卒。同大学医学部循環器内科講師を経て、2005年より現職。専門は生活習慣病および肥満症治療。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本肥満症治療学会評議員。
主な著書として「循環器と病気のしくみ」(日本実業出版社)、「肥満症診療ハンドブック」(医学出版社)など。
参考文献・資料
- 宮崎滋, 肥満と肥満症.日本内科学会雑誌100巻4号 (2011)