消費カロリーを増やす

健康的なダイエットを成功させるためには、消費カロリーを増やすことが不可欠です。日常生活において、どのような点を意識すれば消費カロリーが増えるのかを知って役立てましょう。

ダイエットの基本は食事療法

ダイエットには食事面での管理のほか、毎日の過ごし方の見直しが必要です。体重を減少させるためには、身体活動量で消費カロリーを増やすことがポイントとなります。肥満の方は体を動かす量が少ないケースも多いですが、意識して行動を変えていくようにしましょう。

運動によるエネルギー消費とNEAT習慣

ヒトのエネルギー消費は、スポーツなどの特別な運動によるエネルギー消費と日常生活における軽微な動作によるNEAT(non-exercise activity thermogenesis)に分けて考えることができます。
NEATには、買い物や通勤に伴う歩行、家事や仕事における動作、庭仕事などの余暇活動などが含まれます。身体活動に伴うエネルギー消費の90%はNEAT習慣によるものです。

ダイエットにはNEAT習慣の見直しを

NEATには日常生活上の何気ない活動も含まれます。たとえば、姿勢を保つということも低強度の身体活動です。姿勢保持においてもエネルギーは消費されており、寝ている状態と比べて、椅子に座っているときは約4%、立っているときは約13%の割合で消費カロリーが増加します。
肥満の方は、座って過ごす時間が長くなり、NEATが減少しているという報告もあります。ダイエットのためには、日常生活の何気ない場面でいかに体を動かしているかがポイントとなります。立つ・歩くという基本的な生活動作を含め、家事や余暇活動などを積極的に行い、NEAT習慣を見直していきましょう。

生活活動のメッツ一覧

運動強度の単位には「メッツ」が用いられています。安静時を1とした場合の消費エネルギーを数値で示し、活動ごとに強度を把握することができます。

身体活動のメッツ(METs)表
活動名 メッツ
なわとび 12.3
自転車に乗る 7.5
ジョギング 7.0
部屋の片づけ 4.8
階段をゆっくり上る 4.0
腕立て伏せ 3.8
散歩 3.5
台所での活動 3.3
掃除機をかける 3.3
ストレッチ 2.3
座って過ごす 1.3
睡眠 1.0

なわとびや自転車、ジョギングなどは運動強度が強いですが、台所での活動や掃除機をかける動作などでもある程度の負荷がかかっていることがわかります。寝たまま、座ったままの時間を減らし、できるだけ活発に過ごすように心がけましょう。

消費カロリーの計算

メッツから運動強度を知ることができますが、実際の消費カロリーは活動時間の長さの影響も受けます。メッツで示される運動強度に活動時間をかけたものを「メッツ・時」と呼び、活動量を表す単位として国際的に用いられています。実際の消費カロリーは、「1.05×(メッツ・時)×体重」という計算式で求めることができます。
たとえば、体重70kgの人が散歩(3.5メッツ)を1時間行った場合、「1.05×3.5(メッツ・時)×70(kg)」から、消費カロリーは約257kcalとなります。このように消費カロリーを計算することで、運動のモチベーションにもつながることでしょう。

ダイエットにおいては、毎日の少しの工夫で身体活動を増やし、消費カロリーがアップするよう心がけてみましょう。特別な運動を三日坊主で終えるのではなく、習慣にしやすい小さな試みをコツコツ積み重ねていくことがポイントです。

監修

砂山 聡先生

砂山 聡先生

帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授(内科学)
水道橋メディカルクリニック院長
順天堂大学医学部卒。同大学医学部循環器内科講師を経て、2005年より現職。専門は生活習慣病および肥満症治療。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本肥満症治療学会評議員。
主な著書として「循環器と病気のしくみ」(日本実業出版社)、「肥満症診療ハンドブック」(医学出版社)など。

肥満・ダイエットの基礎知識

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