肥満症とメタボリックシンドロームの違い

肥満症とメタボリックシンドロームは混同されやすいですが、実際には満たす条件から区別して診断されます。両者の違いを知り、どのようなリスクがあるのか確認しましょう。

メタボリックシンドロームとは

内臓脂肪型肥満がベースにあり、高血圧・高血糖・脂質代謝異常のうち2つ以上が合併した状態のことです。実際の診断ではウエスト周囲径を測定し、男性85cm、女性90cmを上回ることも条件となります。

肥満症とメタボリックシンドロームの違い

肥満症の診断ではBMIが25を超えることが一つの条件になります。
肥満症とは

一方、メタボリックシンドロームの場合は、BMIではなく動脈硬化のリスクを高める内臓脂肪の蓄積が認められることが条件になっています。したがって、必ずしも太っている人がメタボリックシンドロームに該当するわけではありません。
肥満症とは異なり、メタボリックシンドロームでは「動脈硬化」に焦点を当てています。内臓脂肪の蓄積に血圧や血糖、脂質の異常が加わることで、動脈硬化のリスクが高まるため、予防と早期治療の目的で診断しています。

肥満症とメタボリックシンドロームの危険性

どちらにも危険は伴いますが、メタボリックシンドロームに起因する動脈硬化が進行すると、心臓発作や脳卒中を起こす可能性があります。日本人の死因として多くを占める病気であり、脳卒中では後遺症が残る場合もあります。場合によっては寝たきりを引き起こし、介護が必要な状態になることもあるほどです。
メタボリックシンドロームだけでは自覚症状がほとんどないため、知らないうちに動脈硬化が進行していくことは少なくありません。症状が自覚できるようになってからでは手遅れになる可能性があるため、肥満や肥満症の段階から、悪化を防止するための対策していくことが大切です。

肥満症とメタボリックシンドロームの予防・改善

過剰な脂肪の蓄積によって健康障害のリスクが高まるため、食事を中心にした減量で、予防・改善することが必要です。
食事の面では、量を抑えるだけでなく、早食い・間食・夜食など内臓脂肪の蓄積を悪化させるような習慣を改めましょう。また、必要な栄養素が不足しないように栄養バランスを考えることも大切です。
また、運動面ではできるだけ積極的に体を動かすことを心がけ、エネルギー消費量や基礎代謝量を高めていくことが重要となります。ウォーキングや軽いジョギングなどの軽めの運動や、簡単にできる筋肉を鍛える運動(スクワットなど)を生活習慣に取り入れましょう。

監修

砂山 聡先生

砂山 聡先生

帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授(内科学)
水道橋メディカルクリニック院長
順天堂大学医学部卒。同大学医学部循環器内科講師を経て、2005年より現職。専門は生活習慣病および肥満症治療。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本肥満症治療学会評議員。
主な著書として「循環器と病気のしくみ」(日本実業出版社)、「肥満症診療ハンドブック」(医学出版社)など。

肥満・ダイエットの基礎知識

このページの先頭へ