ダイエットのポイント
ダイエットはやみくもに進めるのではなく、健康的かつ確実に実現するために、ポイントをおさえておくことが大切です。目標体重を設定し、無理のないペースで減量していきましょう。
まずは目標体重を知ることから
BMIは22が理想であり、25を超えると肥満に分類されます。太っている、やせているという自己認識が誤っている場合もあるため、まずは自分のBMIから本当にダイエットが必要な状態なのか確認しておきましょう。
BMIとは
ダイエットでは一気に10kgや20kg減量しようとするのではなく、段階的にやせていくことが現実的です。一般的には、半年から1年かけて体重の5~10%を減らすことを目標に設定します。
たとえば、体重が80kgの方が半年で5%の体重を減らしたいと考えるとき、4kgの減量が目標になります。1ヵ月あたり約600~700gの減量が必要ということになり、このように具体的な目標があるとモチベーションアップにもつながり、ダイエットを進めていきやすくなります。
無理なダイエットは危険
極端に食事の摂取を減らすと一時的には減量が期待できますが、リバウンドのリスクが高まります。急な体重減少によって健康面に害が及ぶ可能性もあるため、無理のないペースで減量を進めていくことが基本となります。
また、特定の食品だけを摂取するような偏った食事も、必要な栄養素が不足するリスクを伴います。食物繊維の不足による便秘、ビタミンDやマグネシウムの不足による骨粗鬆症などを引き起こさないよう、栄養素のバランスには気を配る必要があります。
寝不足はダイエットの敵
近年はライフスタイルの変化によって睡眠時間が短い人が増えてきています。特に睡眠時間が6時間未満の人では体重が増加しやすいと報告されており、ダイエットを目指す人にとって寝不足は「敵」といえるものです。睡眠時間が短くなると空腹感が強まり、摂食回数が増加することが要因として推察されています。また、1日に10時間眠った日と比べて、4時間しか睡眠をとらない日が2日続くと、食欲を抑える作用のあるレプチンが減少し、食欲が増進することもわかっています。
食欲調整のメカニズム
慢性的な睡眠不足ではなく、限られた期間の寝不足でも減少し、食欲が増進することもわかっています。慢性的な睡眠不足ではなく、限られた期間の寝不足でも大きな影響を及ぼします。
食行動につながる過程を知る
肥満で悩んでいる方は、食行動につながるまでの過程に改善の余地があるケースが多くみられます。たとえば、常に身の回りにお菓子があったり、食事に関する雑誌を読んだりといった、過食を引き起こすような刺激を除くことも対処法の一つです。
ストレスがきっかけとなり過食が引き起こされる場合には、どうすればストレスをマネジメントできるのかを考え直してみることも有効です。また、一時的に食行動を変えるだけでなく、修正した食行動を維持することがポイントであることも理解しておきましょう。
体重日記でモチベーションを維持
自分の体重を測る習慣を身につけ、グラフ化していくことによって、体重が増減した理由を考えることができます。起床直後、朝食直後、夕食直後、就寝直前の4回記録することが基本ですが、1日1回でも客観的な分析の一助となります。特に、減量した体重を長期的に維持していくという目的において体重日記は大きな役割を果たします。ダイエットはある程度長期的なスパンで取り組んでいくことから、モチベーションを持続させるためにも体重測定の習慣化は役立ちます。
ダイエットでは食事面や行動面におけるポイントを念頭に置き、適切に体重を管理していくことが大切です。急激な減量はリバウンドや健康面での悪影響につながるため、じっくりとダイエットを進めていくようにしましょう。
監修
砂山 聡先生
帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授(内科学)
水道橋メディカルクリニック院長
順天堂大学医学部卒。同大学医学部循環器内科講師を経て、2005年より現職。専門は生活習慣病および肥満症治療。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本肥満症治療学会評議員。
主な著書として「循環器と病気のしくみ」(日本実業出版社)、「肥満症診療ハンドブック」(医学出版社)など。