肥満と肥満症

肥満を放置すると、肥満症という疾病につながる可能性があります。肥満と肥満症の関連を知って、健康管理に役立てていきましょう。

肥満症とは

BMIが25以上という肥満の条件を満たし、かつ以下の条件に合致するものが肥満症と定義されています。
肥満の判定基準「BMI」

1.肥満に起因する健康障害がある、あるいは健康障害の合併が予測される場合で、減量を必要とするもの

代表的な健康障害としては、糖尿病・高尿酸血症・心疾患などが挙げられます。

2.ウエスト周囲径でスクリーニングをしたあと、腹部CTで内臓脂肪の面積が100平方cm以上と測定された内臓脂肪型肥満

内臓脂肪の蓄積は生活習慣病を引き起こす可能性を高めるため、「高リスク肥満」とも呼ばれます。

日本における肥満の現状

食生活や運動習慣の変化から、日本では肥満者が急増しました。男性の肥満者は、1970年代には約17%でしたが、2000年代には約28%に増加しています。女性では60代以降で肥満の増加が認められます。肥満者の急増に伴う健康障害の増加が懸念されています。

肥満の放置は禁物

肥満症の場合、健康障害のリスクがあることから、治療によって減量を目指していきますが、肥満の段階でも油断はできません。肥満から肥満症へと段階的に移行する可能性があるため、できるだけ早い段階から悪化を防ぐための取り組みが必要となります。

肥満の悪化を防ぐ生活習慣

肥満から肥満症への悪化を防ぐためには、バランスの良い食生活をはじめ、運動習慣を身につけることが大切です。厚生労働省が平成28年に実施した調査によると、運動習慣のある人の割合は男性で35.1%、女性で27.4%と報告されています。男女ともに30代で低く、男性で18.4%、女性で9.8%というデータが出ており、運動習慣のある人が少数派であることがわかります。体重の増加が気になる方は、肥満症を防ぐために体を動かす習慣づくりを心がけましょう。

肥満と肥満症は似ている単語ですが、肥満症は医学的な治療が必要な疾病です。肥満が悪化する前に、生活習慣を見直していくことが重要です。

監修

砂山 聡先生

砂山 聡先生

帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授(内科学)
水道橋メディカルクリニック院長
順天堂大学医学部卒。同大学医学部循環器内科講師を経て、2005年より現職。専門は生活習慣病および肥満症治療。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本肥満症治療学会評議員。
主な著書として「循環器と病気のしくみ」(日本実業出版社)、「肥満症診療ハンドブック」(医学出版社)など。

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