ダイエットの効用
ダイエットに成功すると、見た目がスマートになるだけでなく、健康面でもプラスに作用することが期待できます。心身の健康にもたらす具体的な効用を知ることで、ダイエットに対するモチベーションを高めていきましょう。
生活習慣病の改善
肥満の方は高血圧や脂質異常症のリスクが上昇しますが、ダイエットで体重を減らすことで状態の改善が期待できます。体重を1.0kg減量すると収縮期血圧が約1.1mmHg低下し、総コレステロール値は1.9mg/dL低下することが示されています。
また、肥満に伴いやすい糖尿病は深刻な問題の一つですが、ダイエットを目的とした生活習慣の改善によって発症のリスクが低下するといわれています。
高血圧や脂質異常症、糖尿病のような生活習慣病は、日本人の死因として多くを占める脳血管疾患・心疾患のリスクを高めます。重篤な病気の予防に貢献するという点が、ダイエットの実践における最大のメリットといえます。
関節にかかる負荷を軽減する
体重が増加した状態で長い期間過ごしていると、体の関節に負担がかかります。将来的に変形性腰椎症や変形性膝関節症などの整形外科的疾患を引き起こす可能性もありますが、減量によって体の重みが減ると関節へのダメージを抑えることができます。
また、肥満の方では筋力が低下している傾向にあり、関節への負荷を高める要因の一つになっています。ダイエットを目的とした運動によって筋力がつくと、体の重みを支える力が強まり、関節への負荷を軽減する効果が期待できます。
運動でストレス発散できる
ダイエットでは減量を目的に運動を行うことが多いですが、運動はストレスの発散にも寄与します。体を動かしている間は運動に集中できるため、不要な考えから解放されることができます。また、体温が上がることでリラックスしたときに働く副交感神経が優位になり、ストレスが軽減されることもあります。
ストレスは過食を招きやすいことから、肥満のリスクを高める要因として位置づけられています。運動を行うことで、ストレスによる食べ過ぎを回避する効果も期待できます。
ダイエットシミュレーターを活用した減量
減量には、身長、体重、年齢、遺伝子検査結果等から、目標に達成するまでをシミュレーションできるダイエットシミュレーターを活用しましょう。BMI、基礎代謝量、現在の1日の総消費カロリーがわかると同時に、「1ヶ月1㎏減量」「目標体重から1日の摂取カロリーを算出し、一日当たりのカロリーをどれくらい減らしたらいいのかがわかります。
ダイエットシミュレーター
監修
砂山 聡先生
帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科長/教授(内科学)
水道橋メディカルクリニック院長
順天堂大学医学部卒。同大学医学部循環器内科講師を経て、2005年より現職。専門は生活習慣病および肥満症治療。
医学博士、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心臓リハビリテーション学会評議員、日本肥満症治療学会評議員。
主な著書として「循環器と病気のしくみ」(日本実業出版社)、「肥満症診療ハンドブック」(医学出版社)など。
参考文献・資料
- 日本肥満学会(編集). 肥満症診療ガイドライン2016(ライフサイエンス出版)