女性・高齢者とお酒

「お酒を飲みすぎると体に悪い」というのは、男女ともに言えることです。また、若い世代でも、年を重ねた世代でも、どちらの場合でも過ぎた飲酒は健康被害をもたらします。しかし、女性は男性に比べ、そして高齢者はさらに「飲み方」に注意を払う必要があります。

女性はアルコールの害を受けやすい

女性は、男性に比べて少ない飲酒量、そして短期間で、アルコール性肝障害を引き起こすことがわかっています。また、中年以降の飲酒は女性の乳がんのリスクを上げます。
女性の方が男性に比べて体脂肪が多いという特徴がありますが、アルコールは脂肪に溶けにくく、血中アルコール濃度を上げてしまいやすいのです。さらに、アルコールは胃を通過し分解されますが、女性の場合、「胃で分解できる速度」が男性に比べて遅いという特徴もあります。
また、女性の場合、「子どもに対する影響」も考えなければなりません。
胎児性アルコール症候群や、授乳への影響を考慮し、妊娠している間や授乳期間は禁酒するべきでしょう。

高齢者の飲酒にも危険がある

高齢者は、若い世代の人に比べて、体の水分が少ない分だけ、アルコール血中濃度が上昇しやすくなり、加齢によるアルコールに対する感受性の変化がみられるようになります。若者と同じくらいの飲酒量であってもアルコールの影響が大きいとされています。
さらに、高齢者の場合「病」とも密接に関係していきます。うつ病を合併するケースや認知症に悪影響を与える深刻なケースも見られます。
高齢者の場合は薬を飲んでいることも多いかと思われますが、飲酒によって薬の効果が変わってしまうといった問題点もあります。
また、高齢者は骨ももろくなっているため、転倒→車いす生活→寝たきりになる、というケースも否定しきれません。

「女性と高齢者は絶対にお酒を飲んではいけない」というわけではありませんが、付き合い方には慎重さが求められます。

参考文献・資料

  • 樋口 進ほか (編). 健康日本21推進のためのアルコール保健指導マニュアル. 社会保険研究所

知っておきたい飲酒の教養

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